○川本町男女共同参画推進条例

平成17年12月22日

条例第56号

目次

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 基本的施策(第9条―第23条)

第3章 川本町男女共同参画推進委員会(第24条・第25条)

第4章 雑則(第26条)

附則

わたしたちのまち川本町は、山陰地方随一の江の川をはじめとする自然環境の中で、水と緑が織りなす美しい風景を有するほか、豊かで人情あふれる人を育て、郷土の歴史や芸能、音楽を中心とする魅力ある文化等恵まれた環境を有している。

この中で、いきいきと豊かに暮らしていくため、男女がお互いの人権を認め合って、ひとりひとりの個性と能力が発揮できる社会を実現することが必要である。

このため、日本国憲法に基づき、町民とともに男女平等の実現に向けた様々な取組を国や県及び国際社会における取組とも連動しつつ、すすめてきた。

しかしながら、わたしたちの日常生活においては、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会通念、慣習、しきたりが根強く残っており、政策又は方針の決定過程においては、男女の均等な参画が確保されていない状態である。また、少子高齢化による人口減少や、それに起因した地場産業の衰退、経済活動の低迷等、様々な問題を抱えている。

このような状況を踏まえ、社会のあらゆる分野において、男女共同参画が浸透していくようなお一層の努力が必要とされている。

そこで、男女共同参画の推進についての基本的理念並びに町民、事業者及び町の役割を明らかにするとともに、「男女が共に支え合うまちづくり」を目指し、男女共同参画社会を実現することで、社会全体の活力が増し、人々が将来への夢を持てるように、取組を協働して積極的に推進するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女の人権が尊重され、かつ、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、町、町民及び事業者の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を分かち合うことをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) セクシャル・ハラスメント 性的な言動により相手方を不快にさせ、若しくはその者の生活環境を害すること又は性的な言動に対する相手の対応によりその者に不利益を与えることをいう。

(4) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(事実上の婚姻関係にある者及び過去にこれらの関係にあった者を含む。)に対して身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為をいう。

(基本理念)

第3条 本町における男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として、行われなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別を受けないこと及び男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること。

(2) ドメスティック・バイオレンスその他性別に起因する暴力的行為が根絶されること。

(3) 妊娠、出産その他性と生殖に関する事項に関し、男女がお互いの性を理解し合うこと、自らの意思が尊重されること及び生涯にわたり健康な生活を営むことができること。

(4) 社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことがないよう配慮されること及び男女が性別による固定的な役割分担にとらわれることなく多様な生き方を選択できること。

(5) 男女が、社会の対等な構成員として、町における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(6) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、家事、育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、社会生活における活動を行うことができること。

(7) 国際社会における取組と協調し、又は連携して行われること。

(町の責務)

第4条 町は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(以下「男女共同参画施策」という。)を総合的に策定し、及び実施しなければならない。

2 町は、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に関し、男女間に格差が生じていると認めるときは、積極的改善措置を講ずるよう努めなければならない。

3 町は、男女共同参画施策については、国、県、町民及び事業者と相互に連携し、協力して実施するよう努めなければならない。

4 町は、町民及び事業者が男女共同参画の推進に関して行う活動を支援するため、情報の提供、助言その他必要な措置を講ずるものとする。

(町民の責務)

第5条 町民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、自ら主体的かつ積極的に参画するとともに、男女共同参画の推進に努めなければならない。

2 町民は、町が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進に積極的に努めなければならない。

2 事業者は、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保に努めるとともに、職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことができる職場環境を整備するよう努めなければならない。

3 事業者は、町が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(性別による権利侵害の禁止)

第7条 何人も、社会のあらゆる場において、男女共同参画の推進を阻害する次の行為を行ってはならない。

(1) 性別による差別的取扱い

(2) セクシュアル・ハラスメント

(3) ドメスティック・バイオレンスその他性別に起因する暴力的行為

(公衆に表示する情報に関する配慮)

第8条 何人も、情報を公衆に表示するに当たっては、前条各号に掲げる行為を助長させ、又は連想させる表現及び過度の性的な表現を用いないよう配慮しなければならない。

第2章 基本的施策

(男女共同参画計画)

第9条 町は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第3項の男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定しなければならない。

2 前項の男女共同参画計画の策定に当たっては、広く町民の意見を反映できるよう努めるとともに、川本町男女共同参画推進委員会の意見を聴かなければならない。

3 町は、男女共同参画計画を策定したときは、遅延なく、これを公表しなければならない。

4 第2項の規定は、男女共同参画計画を変更する場合について準用する。

(施策の実施等に当たっての配慮)

第10条 町は、その実施する施策の全般にわたり、男女共同参画の推進に配慮するものとする。

(広報活動等)

第11条 町は、基本理念に関する町民及び事業者の理解を深めるため、広報活動その他適切な措置を講ずるものとする。

(雇用の分野における男女共同参画の促進)

第12条 事業者は、雇用の分野において、男女共同参画を促進する責務を有する。

2 町長は、男女共同参画の促進に必要と認める場合は、事業者に対し、雇用の分野における男女の参画状況について報告を求めることができる。

(農林水産業及び商工業等の分野における男女共同参画の促進)

第13条 町は、農林水産業及び商工業等の分野において、男女が主体的に能力を十分に発揮し、対等な構成員として経営その他方針の立案及び決定の場に参画する機会が確保される社会を実現するため、必要な男女共同参画の促進に努めなければならない。

(家庭における男女共同参画の推進)

第14条 町は、男女が共に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動並びに職業生活及び地域における活動との両立をすることができるように、その支援を行うよう努めなければならない。

(教育及び次世代育成の分野における配慮)

第15条 町は、学校教育をはじめとするあらゆる分野の教育において、基本理念に配慮した教育が行われるよう、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、男女共同参画の推進のため、川本町の「次世代育成支援行動計画」との整合性を図りながら、次世代育成への支援を行うよう努めなければならない。

(男女共同参画推進月間)

第16条 町は、町民及び事業者の間に広く男女共同参画についての関心及び理解を深めるとともに、男女共同参画に関する活動が積極的に行われるようにするため、男女共同参画推進月間を設ける。

2 男女共同参画推進月間は、毎年6月とする。

(推進体制の整備)

第17条 町は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施するために必要な体制を整備するよう努めるものとする。

(町民及び事業者への支援)

第18条 町は、町民及び事業者の男女共同参画の推進に関する取組を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(附属機関の委員の構成)

第19条 町長その他の執行機関は、附属機関として設置する審議会等の委員を任命し、又は委嘱するときは、男女いずれか一方の委員の数が、委員の総数の10分の3未満とならないよう努めなければならない。

(苦情への対応)

第20条 町長は、町が実施する男女共同参画施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、町民又は事業者から苦情の申出を受けた場合には、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 町長は、必要があると認めるときは、前項の苦情の処理に当たり、第24条の川本町男女共同参画推進委員会の意見を聴くものとする。

(ドメスティック・バイオレンス等への対応)

第21条 町長は、ドメスティック・バイオレンスその他の男女共同参画の推進を阻害する要因に関する相談に対応するため、関係機関と連携して、必要な措置を講ずるものとする。

(調査研究)

第22条 町は、男女共同参画施策を策定し、及び実施するために必要な事項及び男女共同参画の推進を阻害する問題について情報収集し、調査研究を行うものとする。

(年次報告)

第23条 町長は、施策の総合的な推進に資するため、毎年、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を取りまとめ、公表するものとする。

第3章 川本町男女共同参画推進委員会

(川本町男女共同参画推進委員会の設置及び所掌事務)

第24条 男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項並びに町長が必要と認める事項について調査審議を行うため、川本町男女共同参画推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会の所掌事務は、次に掲げるとおりとする。

(1) 町が実施する男女共同参画施策の実施状況について意見を述べること。

(2) 第9条第2項及び第20条第2項の規定によりその権限に属された事務に関すること。

(3) 男女共同参画計画の推進に関すること。

(組織等)

第25条 委員会は、委員12人以内で組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから町長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 関係団体及び組織の代表者等

(3) 公募に応じた者

(4) その他町長が必要と認める者

3 男女いずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の3未満であってはならない。

4 委員の任期は、2年とする。ただし、委員に欠員が生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、再任を妨げない。

6 委員会に、男女共同参画に関する事項を調査し、研究し、審議し、及び男女共同参画の推進をするために部会を置くことができる。

7 部会に属すべき委員は、町長が委嘱し、又は任命する行政職員等をもって組織する。

8 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

9 前各項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(委任)

第26条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成18年4月1日から施行する。

川本町男女共同参画推進条例

平成17年12月22日 条例第56号

(平成18年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 長/第8節 地域振興
沿革情報
平成17年12月22日 条例第56号